当院で行っている不妊の検査は以下の通りです
不妊の原因がわからないままでは、適切な治療が行えず、夢がかなう日は遠のいてしまいます。まずは、基本的な検査を受け、原因をつきとめることが大切です。
※検査によっては実施時間が決まっているものや事前予約が必要なものがあります。詳細はお問い合わせください。
●LH-RHテスト
視床下部・下垂体・卵巣のいずれに排卵障害があるか調べる精密検査です。はじめに採血してLH、FSHの値を測定し、下垂体を刺激する注射をした後30分経ってから、さらに採血をしてLH、FSHを測定します。 LH、FSHの値がどれだけ上昇したかを測定し、排卵障害、多嚢胞性卵巣症候群、早発卵巣機能不全等を診断して適切な排卵法を選択する指標にします。
●基礎体温測定
卵巣の働きが正常かどうかを確認するための大切な検査です。LHホルモン(排卵を起こす作用あるホルモン)上昇があった場合には、体温が低温相から高温相に移行します。月経周期が正常であれば、ほぼ2週間の低温相(卵胞期)と2週間の高温相(黄体期)の2相性になります。低温期の最終日に排卵が必ず起きるわけではなく、また高温期に移行したからといって、必ずしも排卵が起こっているとも限りません。正確な診断には超音波検査を用います。
●クラミジア検査
近年、若年者に増加している性感染症(STD)の一種で、卵管閉塞、子宮外妊娠、流産などの問題を引き起こします。採血(クラミジア抗体検査)もしくは子宮口周辺の粘液を採取して(クラミジアPCR)調べます。治療には、パートナーと同時に抗生物質を飲んでいただきます。クラミジア感染が確認された場合、早期に治療をしないと不妊症の原因となります。
●頚管粘液検査
排卵日に近づくと、発育した卵胞から分泌されるエストロゲンの作用で粘液分泌が増加します。頚管粘液は基礎体温上で低温相の最終日頃に最も増加し、透明度、牽糸性が増大します。正確性には欠けますが、排卵日が近づいていることの推定が可能にまります。頚管粘液の状態が良好でないと場合には精子の運動、すなわち子宮内への精子の移動が妨げられ不妊の原因となります。ただし、排卵誘発剤の内服により頚管粘液異常が起こることもありますので注意が必要です。
●経膣超音波検査
子宮・卵巣の観察に極めて有用な方法です。卵胞の発育状態や子宮内膜の状態を把握できるので、不妊治療には不可欠の検査です。
●子宮鏡検査
子宮の中に内視鏡を挿入して、子宮の内部の画像を観察します。子宮の内側にできる子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮内腔の癒着がわかります。
●子宮卵管造影検査
子宮の入り口より管を入れて造影剤を注入し、レントゲン透視下で子宮の中や卵管通貨性の状態、卵管周囲癒着の程度を判断する検査です。検査は月経終了直後から排卵前(確実には妊娠の可能性のない時期、卵子のみレントゲン撮影は問題ない)までの2日間連続で行います。卵管の通りが悪い・詰まっている場合など、注射器で造影剤を入れる際に痛みが強く出る場合がありますが、我慢できない状態であれば検査を中断することも可能です。
●精液検査
精液中に運動性の高い、十分な量の元気な精子がいるかどうか、顕微鏡を見ながら検査をします。精子の質はその時々によって大きく異なるので、数回検査します。
●性交後検査(フーナーテスト)
排卵時期に合わせて性交をした後、元気な精子がどのくらい進入できているかを顕微鏡で観察する検査です。精液検査が良好であっても性交後検査が不良で不妊となっていることもあります。
●乳汁分泌検査
プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)の値が高いと、排卵障害や流産の原因になります。プロラクチンの値が低い人でも乳汁の分泌が認められる場合には、同様に不妊の原因になります。、あた、他の科で投薬を受けている場合にはプロラクチンの値が確認できないことがあります。そのため、乳首を絞って、乳汁が出るかどうかの確認が必要です。乳汁分泌が確認された場合は、薬を飲んでいただいて乳汁分泌を抑制し、妊娠しやすくします。通常は基礎検査として初診時に行います。
血中ホルモン測定
●低温期に測定するホルモン
FHS(卵胞刺激ホルモン)・LH(黄体形成ホルモン)の測定
月経開始後5日以内に採血をします。通常LHはFSHより低値であり、LH/FSHが1.0以上であればテストステロン(男性ホルモン)の測定をします。テストステロンが高値で月経異常を伴えば多嚢胞性卵巣の可能性があります。また、FSH・LHともに異常高値である場合には卵巣機能不全を疑います。
PRL(プロラクチン)の測定
乳汁分泌検査の項を参照してください。 PRLの測定は、いつでも測定可能ですがFSH・LHと同時に生理3日から5日目に測定することが多いです。
E2(エストロゲン)・P4(プロゲステロン)の測定
E2・P4は生理開始と同時に低値になります。E2・P4値が高い場合は、卵胞が排卵されずに残っている場合(不完全排卵)等が疑われ、良い卵子が育たなくなります。必要に応じて(体外受精の前や卵巣のはれている場合など)検査します。
●高温期に測定するホルモン
E2(エストロゲン)・P4(プロゲステロン)の測定
卵胞が育つにつれてE2の値が高くなり、排卵後の高温期にE2・P4の値の測定をして値が低い場合には黄体機能不全が疑われます。黄体機能不全の場合、受精卵の着床が妨げられて不妊の原因になります。治療法としては、卵巣を刺激する注射(ゴナトロピン)、黄体ホルモン注射(プロゲデポー・オバホルモンデポー)等を打ちます。